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最高裁判所第二小法廷 昭和23年(れ)1012号 判決 1949年2月22日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人加藤外次上告趣意について。

原判決が同判示建造物侵入、窃盗事実を認めるについて舉示した證據は、被害者提出の各被害顛末書記載の外、原審公判廷における被告人の供述と本件記録中の呉良鎬に對する原審第二回公判調書中判示に照應する窃盗共謀顛末の供述記載とであって、右の中原審公判廷における被告人の供述として「自分は盜みに入るのは嫌だといふと金本はそれではここで待ってゐてくれと言ふのでその場で待っていることにした」という趣旨の供述部分があることは所論のとおりであるが、被告人はそれに續いて「金本と呉の二人が盜み出して來た盜品を三人で分けて運び一旦竹薮の中に隱して置いて翌日これを運びに行った」という趣旨の供述を爲し、原判決は以上を併せて不可分一體の供述としてこれを引用していること明白であり、呉良鎬が、同人に對する原審第二回公判において、被告人及び金本某と共謀の上原判示のとおりの建造物侵入、窃盗の所爲をしたに相違ない旨の供述をしていることも、前記公判調書の記載によって確認されるところである。そして以上を綜合すれば、被告人が、原判示のとおり、呉良鎬及び金本某と共謀の上同判示の窃盗を爲したことは認めることができるのである。そして又、右に摘示した證據によれば、右三名共謀に係る窃盗がいわゆる忍び込み窃盗であったことは自ら諒解されるのであるから、これによって、原判示のとおり被告人と他の二名との間に所論建造物侵入の點についても共謀が存したと認定することを妨げるものではない。

從って、原判決には、所論のように證據によらないで若しくは採證の法則に違背して事実を認定した違法はなく、いわゆる忍び込み窃盗の共謀をした者は自らその実行行爲をしなくても、窃盗と共に建造物侵入の點についても共同正犯の責を免れないのであるから(昭和二三年一二月二四日言渡同年(れ)第一二七九號第二小法廷判決參照)原判決には法律の適用を誤った違法も存しない。所論は、結局獨自の見解を以て原判決の事実認定を攻撃し、ひいて法律の適用を誤ったと主張するもので、理由がない。

よって、刑事訴訟法施行法第二條、舊刑事訴訟法第四四六條に則り主文のとおり判決する。

右は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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